臨床試験情報
東京大学医学部附属病院にて
『病院残余検体・検査データを用いた医工連携研究の推進(包括申請:2021036NI) 生体ガスセンサーの医療応用』の研究に参加された患者さん、およびご家族の方へ
近年、体内で発生する「におい」成分(揮発性代謝物)が、何らかの疾患と関連している可能性が示されています。本研究では、先行研究で測定された血液や尿のガス成分(揮発性代謝物)の情報と診療情報を、AI(Artificial Intelligence、人工知能)で解析することで、疾患との関連性を探索し、将来的な疾患の早期診断や病態解明に貢献することを主な目的としています。
研究課題
臨床検体に含まれる揮発性物質のAI解析による臨床診断(審査番号2025512NI)
研究機関名及び本学の研究責任(代表)者氏名
この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。
主任研究機関 東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
研究代表者 平川 陽亮 国立大学法人東京大学 医学部附属病院 助教
担当業務 立案、研究実施、解析結果解釈と論文作成
研究機関 東京大学医学部附属病院臨床検査部
研究分担者 蔵野 信 国立大学法人東京大学 医学部附属病院 教授
担当業務 臨床検体データの管理
研究機関 東京大学大学院工学系研究科
研究分担者 田畑 仁 国立大学法人東京大学 工学部 教授
担当業務 先行研究の研究成果であるデータのソフトバンク社への提供
共同研究機関
研究機関 ソフトバンク株式会社
研究責任者 池城 和夫 IT総括Beyond AI推進室 R&D推進部AI研究開発課 担当課長
担当業務 立案、臨床情報と検体情報をあわせてAI解析を行う
この研究に利用する情報は上記共同研究機関の範囲のみで利用されます。
研究目的・意義
近年、いろいろな疾患の診断及び進展に関して、物質を体内で代謝する時に発生する「代謝物」の関与が知られてきています。代謝物の検出方法は複数存在しますが、近年では「揮発性代謝物」と疾患の関与が示されてきています。この揮発性代謝物とは、生体の「におい」を構成しており、体内で代謝物が発生した時に呼気や皮膚から発生する揮発性のガスとなって体外で排出されるものです。疾患と特定の揮発性代謝物の関連が証明されれば、採血など痛みや侵襲を伴う検査を行わなくても疾患の診断を可能とできる可能性があるため、この研究の発展は公衆衛生的な観点から意義が深いと考えています。
他方で、揮発性代謝物を測定してみると多くの種類の代謝物が含まれていることがわかります。これらは複雑な代謝経路を辿って発生しており、各々の代謝物が関連しあって発生していることもあります。このため、検出されたどれか一つの代謝物とある疾患との相関関係を簡単に断定することはできません。このため、代謝物の複雑な経路を解明するためにはAI(Artificial Intelligence)を用い、複数の代謝物と疾患との関連を網羅的に探索することが必要です。
このため、先行研究で使用同意を得て測定した血液・尿の揮発性代謝物と、患者さんの性別や年齢といった臨床情報と合わせてAI解析を行うことで、各揮発性物質と疾患との関連性を探索することを本研究の目的としました。これにより、将来的な病気の早期診断や、種々の病態の解明に貢献することを目的としています。なお、本研究はこういった学術的知見を深めることを目的としており、商業的な利用を目的としたものではありません。
研究期間
2026年4月21日 ~ 2029年3月31日
対象となる方
以下の基準を全て満たす方を対象といたします。
<選択基準>
1)先行研究『病院残余検体・検査データを用いた医工連携研究の推進(包括申請:2021036NI)生体ガスセンサーの医療応用』に参加された方。つまり、2021年4月1日以降に東京大学医学部附属病院に通院もしくは入院し、同院検体検査室で臨床検査(血液、尿検査)を受けた方。
2)年齢18歳以上
3)性別は問いません
なお、下記の除外基準に当てはまる場合は本研究に組み入れることはいたしません。
<除外基準>
1)年齢17歳以下
2)研究者がその方の研究参加を望ましくないと判断した場合
3)本研究で情報使用をすることに対して拒否の申し出を行った場合
研究の方法
本研究で使用するデータは、先行研究(包括申請:2021036NI)で血液・尿から測定された揮発性ガス測定のデータと、同じく先行研究の際に診療録(カルテ)から取得した以下の情報です。研究対象者の皆さんのデータを新たに取得することはなく、また新たに皆さんにご負担いただくことはありません。
・年齢、性別
・診断名および他に罹患している疾患
・検査値(採血・採尿結果)
・当院で処方された薬剤の情報
研究に参加する予定人数は2000名を予定しています。
先行研究で取得した上記のデータは全て既に匿名化(個人を特定できない形式)されており、第三者には個人が判別されないよう当院検査部で電子ファイル内に厳重に管理されています。
本研究ではこれらのデータを統合し、匿名化されたままの状態で共同研究機関であるソフトバンク株式会社のAIプラットフォーム(AIを用いた解析を行うためのシステム)に提供し、AI解析を行います。
解析結果は匿名化されたままで出力され、電子データとして東京大学医学部附属病院に提供されます。その結果を用いて、同院で解析結果の検討を行います。
上述のように先行研究で取得したデータは全て先行研究の段階で個人が特定できない情報に加工されており、他機関には加工された状態のデータのみをお渡しします。したがって、本研究で他機関にみなさんの名前や性別などの個人情報が漏れてしまうことはありません。
利用又は提供を開始する予定日:実施許可日(2026年4月21日)
なお、研究計画書や研究の方法に関する資料を入手・閲覧して、研究内容を詳しくお知りになりたい場合は、末尾の連絡先にお問い合わせください。他の研究対象者の個人情報等の保護や研究の独創性確保に支障がない範囲でご提供させていただきます。
個人情報の保護
この研究に関わって使用される情報は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱います。
先行研究において、取得した情報は、氏名・住所・生年月日・カルテ番号等の個人情報を削り、代わりに新しく研究用の符号をつけ、どなたのものか分からないようにしてあります。どなたのものか分からないように加工した上で、検査室の鍵のかかる冷凍庫、研究者のみ使用できるパスワードロックをかけたパソコン内でさらにパスワードをかけてファイルで厳重に保管してあります。
本研究は、先述のように先行研究で既に個人がわからないように加工した情報のみを使用しますので、外部に個人情報が漏れることはありませんが、皆さんの大切な情報を扱うことから厳重な管理を行います。
また本研究はソフトバンク社との共同研究であり、同社のAIプラットフォームを使用した解析を行います。このAIプラットフォーム内では研究者のみが使用できるアカウントを作り、パスワードロックをかけて他人の閲覧や修正はできない状態に管理したうえで解析が行います。またデータを入出力する時のみは接続を厳しく制限したネットワーク接続で行われますが、それ以外の実際に解析を行う部分は全て閉域(ネットワークに接続していない状態)で行われ、また海外へのデータのバックアップや転送なども行いません。これらの個人単位のデータは解析の後に完全に削除され、復元することは理論上不可能です。
研究の説明を受けた後に、この研究のためにご自分(あるいはご家族)の血液・尿検体と診療録に載っている情報を使用してほしくない場合は、2026年7月21日までにご連絡をください。ただし、その後もご連絡いただければ可能な範囲で患者さん自身のデータを本研究に用いないようにいたしますが、既に解析が行われている場合は、本研究からデータを削除できない場合がございます。なお、研究に参加いただけない場合でも、将来にわたって不利益が生じることはありません。
研究の実施に先立ち、国立大学附属病院長会議が設置している公開データベース(UMIN-CTR)に登録をし、研究終了後は成績を公表いたします。
UMINのホームページ(URL):https://www.umin.ac.jp/ctr/index-j.htm
国内外の学術雑誌での公開にあたっては、研究成果の第三者による検証や複数の研究の結果を統合して統計的に検討する際の原資料となることもあるために、解析・論文作成に用いたデータを学術雑誌社・学会(誌)へ提供・公開すること、また保管されることがあります。提供・公開されたデータは国内外にある学術研究機関だけではなく、製薬企業等の民間企業等により、研究や製品開発等のために分析、利用される可能性があります。
研究の成果は、あなたの氏名等の個人情報が明らかにならないようにした上で、学会発表や学術雑誌、国内のデータベース等で公表します。
本研究で使用したデータを、ソフトバンク社がそのまま製品の開発や販売に使用することはありません。一方で、研究の結果(例えば、ある物質と腎臓の病気に深い関係があるといった発見など、個人情報を含まない解析の結果)については、ソフトバンク社と東京大学が合同で行った研究の成果として、今後の製品開発などに役立てられる可能性があります。
取得した情報は厳重な管理のもと、研究終了後5年間保存されます。保管期間終了後には、フォルダ内に保管されたデータは消去し、フォルダ外でSuperPOD(ソフトバンク社でAI解析を行うシステム)に保存されたデータについても、復元不可能な方法により完全に削除します。
なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示いたしますので下記までご連絡ください。
尚、提供いただいた試料・情報の管理の責任者は下記の通りです。
試料・情報の管理責任者
所属:東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
氏名:平川 陽亮
この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。
この研究に関する費用は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)のシーズ開発・基礎研究プロジェクトにおけるムーンショット型研究開発事業7「病院を家庭に、家庭で炎症コントロール」、および東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科の運営交付金から支出されています。
本研究に関して、開示すべき利益相反関係はありません。
尚、あなたへの謝金はございません。
この研究について、わからないことや聞きたいこと、何か心配なことがありましたら、お気軽に下記の連絡先までお問い合わせください。
2026年4月
連絡・お問い合わせ先
研究責任者:平川 陽亮(ひらかわ ようすけ)
連絡担当者:原 理沙(はら りさ)
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
電話:03-3815-5411(内線35724) FAX:03-5800-9551
e-mail:hara-risa815@g.ecc.u-tokyo.ac.jp