臨床試験情報
東京大学医学部附属病院にて 腎生検、末梢動静脈瘻(シャント)造設術や 人工血管(グラフト)移植術を受けた方、 腎移植のドナー/レシピエントとなった方、 およびそのご家族の方へ
当院では、心・腎・代謝のいずれかの要因の悪化が他要因の悪化を招く悪循環が生じ、これらの要因が重複することで更なる死亡リスクの上昇が起こることを指す、『心・腎・代謝症候群』という疾患概念の研究を行っています。当院で腎生検、腎移植、あるいは末梢動静脈瘻(シャント)造設術を受けた場合には、腎組織あるいは血管組織の病理検体が作成されますが、この研究ではその残余検体(診療上必要な分を使用した後の残り)を利用し、一細胞/空間トランスクリプトーム解析という解析を行うことで、心・腎・代謝症候群の病態解明、治療ターゲット同定を目指すものです。この研究の対象者に該当する可能性がある方で、診療情報等を研究目的に利用または提出されることを希望されない場合や、研究への協力を希望されない場合、あるいは協力を途中でおやめになりたい場合は2026年3月31日までに末尾に記載の問い合わせ先までご連絡ください。
【オプトアウト(研究への協力を拒否)を受け付ける期間:2026年3月31日まで】
研究課題
一細胞/空間トランスクリプトーム解析を用いた心・腎・代謝症候群の病態解明に向けた研究
(審査番号:2025372G)
研究機関名及び本学の研究責任者氏名
この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。
研究機関 東京大学医学部附属病院・腎臓・内分泌内科
研究責任者 菅原有佳 特任助教
担当業務 研究計画立案・データ取得・データ解析
業務委託先
1. タカラバイオ株式会社
担当業務:一細胞/空間トランスクリプトーム解析の実施
2.東京大学大学院 新領域創成科学研究科附属生命データサイエンスセンター(LiSDaC)
担当業務:一細胞/空間トランスクリプトーム解析の実施
この研究に利用する試料・情報は当機関及び業務委託機関の範囲のみで利用されます。
研究目的・意義
以前より、腎臓の機能が低下する疾患である慢性腎臓病と心血管疾患が互いに悪化させ合うことが知られていました。また、肥満や糖尿病といった代謝異常があると慢性腎臓病を発症しやすくなること、同様に代謝異常があると心血管疾患を発症しやすくなることも知られていました。これらを総合し、慢性腎臓病、心血管疾患、代謝異常が互いに影響を及ぼしながら進行することを指し、『心・腎・代謝症候群(CKM syndrome)』という概念が提唱されました。心・腎・代謝症候群においては、心・腎・代謝のいずれかの要因の悪化が他要因の悪化を招く悪循環が生じ、これらの要因が重複することで更なる死亡リスクの上昇が起こるため、単一疾患のみを治療ターゲットとするのではなく複合的リスク管理が重要と考えられています。
また、昨今一細胞トランスクリプトーム解析や空間トランスクリプトーム解析といった研究手法が注目されています。一細胞トランスクリプトーム解析は、個々の細胞や核という非常に細かい単位での働きを測定する手法であり、疾患による細かい変化の検出が可能となるとされています。一方、空間トランスクリプトーム解析は、細胞の空間的配置情報を保持したままその働きを測定する手法であり、細胞間相互作用や組織構造との関連を明らかにすることができると考えられています。これらの手法を用いることで、心・腎・代謝症候群における細胞レベルでの病態変化や組織内の異常分布を詳細に解析し、病態解明や新規治療標的の探索に貢献することが期待されます。現時点では、こういった解析手法を心・腎・代謝症候群の解析のために実施した報告は少なく、アジア人におけるこういった解析は更に少ないのが現状です。
またこの研究では、上記手法を行った結果、人間の身体を作る設計図にあたる「遺伝子」の解析が必要と考えられた場合、あなたの血液から「遺伝子」を抽出して解析する可能性があります。人間の身体は、この遺伝子の指令に基づいて成長、維持されており、多くの病気はこの遺伝子と、生活の仕方等の環境要因の両方の影響からおこると言われているため、この解析により更に詳細に心・腎代謝症候群の病態解明につながる可能性があります。
本研究は、腎検体および血管検体の一細胞/空間トランスクリプトーム解析を行うことで、心・腎・代謝症候群の病態解明、治療ターゲット同定などを目指すものです。
研究期間
研究実施許可日 ~ 2029年9月30日
対象となる方
年齢18歳以上で、2020年1月1日 ~ 2025年11月27日の間に当院で腎生検、生体腎移植、末梢動静脈瘻(シャント)造設術、あるいは人工血管(グラフト)移植術を受けた方、およびそのご家族の方。生体腎移植の場合は、ドナー・レシピエント双方が含まれます。
ただし、解析に用いる腎組織あるいは血管組織の残余が当院に保管されていない(診療上必要な分で使い切っており残りがない)方は対象となりません。
研究の方法
本研究は,単施設研究で、合計150例(本文書で説明している腎組織あるいは血管組織を用いた解析については50例、他解析で100例)を予定した研究です。
1.以前に腎生検、生体腎移植、末梢動静脈瘻(シャント)造設術、あるいは人工血管(グラフト)移植術実施時に、通常診療の一環として腎組織あるいは血管組織の採取が行われました。診断等の通常診療上必要な行為が実施された後、採取組織の残余検体は当院病理部で保管されています。
2.当院病理部に保管されていた腎組織あるいは血管組織の病理検体の残余を研究用に使用します。
3.診療録より、腎組織あるいは血管組織の採取が実施された日の前後半年以内における以下の情報を抽出し使用させていただきます。
A) 生体腎移植を受けられた方の場合
1) ドナー及びレシピエントの年齢、性別、身長、体重、腹囲、血圧
2) レシピエントの慢性腎臓病の原疾患(臨床診断および腎生検施行済みの場合病理診断)
3) ドナー及びレシピエントの心血管疾患の合併状況
4) ドナー及びレシピエントの血液検査結果(Cre(クレアチニン)、eGFR(推算糸球体濾過量)、HbA1c(ヘモグロビンA1c)、グリコアルブミン等)5) ドナー及びレシピエントの尿検査結果(urine albumin/creatinine ratio(尿中アルブミン/クレアチニン比)、urine protein/creatinine ratio(尿中タンパク/クレアチニン比)、尿潜血等)
B) 腎生検、末梢動静脈瘻(シャント)造設術、あるいは人工血管(グラフト)移植術を受けられた方の場合
1) 年齢、性別、身長、体重、腹囲、血圧
2) 慢性腎臓病の原疾患(臨床診断および腎生検施行済みの場合病理診断)
3) 心血管疾患の合併状況
4) 血液検査結果(Cre(クレアチニン)、eGFR(推算糸球体濾過量)、HbA1c(ヘモグロビンA1c)、グリコアルブミン等)
5) 尿検査結果(urine albumin/creatinine ratio(尿中アルブミン/クレアチニン比)、urine protein/creatinine ratio(尿中タンパク/クレアチニン比)、尿潜血等)
4.腎組織あるいは血管組織の残余検体を外部委託先に郵送し、一細胞・空間トランスクリプトーム解析を実施します。この際、研究に参加される方のお名前等の個人情報含め、他の情報が外部委託先に伝わることはありません。
5.解析結果は当院に報告され、さらに解析を進めます。解析実施後に、腎組織あるいは血管組織の残りが生じた場合には、その残りは当院へ返送されます。
利用又は提供を開始する予定日:2026年4月1日
なお、研究計画書や研究の方法に関する資料を入手・閲覧して、研究内容を詳しくお知りになりたい場合は、末尾の連絡先にお問い合わせください。他の研究対象者の個人情報等の保護や研究の独創性確保に支障がない範囲でご提供させていただきます。
個人情報の保護
この研究に関わって取得される試料や情報は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。
取得した試料や情報は、氏名・住所・生年月日・カルテ番号等の特定の個人を識別可能な情報を削り、代わりに新しく研究用の符号をつけ、どなたのものか分からないようにします。
どなたのものか分からないようにした上で、外部委託先に送られ、送付先および本学では、検体については鍵のかかる冷凍庫、データについては研究者のみ使用できるパスワードロックをかけたパソコン、紙の資料は鍵のかかるロッカーで厳重に保管します。
ただし、参加拒否の申し出期限までにお申し出いただいた場合には、当診療科においてこの符号を元の氏名等に戻す操作を行い、あなたの試料や情報を廃棄することもできます。
この研究のためにご自分(あるいはご家族)の試料や情報を使用してほしくない場合は主治医にお伝えいただくか、下記の問い合わせ先に2026年3月31日までにご連絡ください。なお、研究に参加いただけない場合でも、将来にわたって不利益が生じることはありません。
ご連絡をいただかなかった場合は、ご了承いただいたものとさせていただきます。
研究の実施に先立ち、国立大学附属病院長会議が設置している公開データベース(umin)に登録をし、研究終了後は成績を公表いたします。
UMINのホームページ(URL):https://www.umin.ac.jp/ctr/index-j.htm
国内外の学術雑誌での公開にあたっては、研究成果の第三者による検証や複数の研究の結果を統合して統計的に検討する際の原資料となることもあるために、解析・論文作成に用いたデータを学術雑誌社・学会(誌)へ提供・公開すること、また保管されることがあります。提供・公開されたデータは国内外にある学術研究機関だけではなく、製薬企業等の民間企業等により、研究や製品開発等のために分析、利用される可能性があります。
研究の成果は、あなたの氏名等の個人情報が明らかにならないようにした上で、学会発表や学術雑誌、国内のデータベース(CANNDs)等で公表する可能性があります。
取得した試料や情報は厳重な管理のもと、研究終了後5年を経過した日、又は研究結果について報告された日から3年を経過した日のいずれか遅い日まで保存されます。保管期間終了後には、試料においてはオートクレーブ処理、情報においては紙で保存されている場合はシュレッダー処理、電子データで保存されている場合はデータ削除等することで廃棄します。なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示いたしますので下記までご連絡ください。
尚、提供いただいた試料・情報の管理の責任者は下記の通りです。
試料・情報の管理責任者
所属:東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科)
氏名:菅原有佳
この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。
この研究に関する費用は、令和7年度日本医療研究開発機構 医学系研究支援プログラムの研究助成 (課題名「東京大学医学部附属病院 研究力向上計画」)から支出されています。
本研究に関して、開示すべき利益相反関係はありません。
尚、あなたへの謝金はございません。
この研究について、わからないことや聞きたいこと、何か心配なことがありましたら、お気軽に下記の連絡先までお問い合わせください。
2025年11月
連絡・お問い合わせ先
東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科
住所:東京都文京区本郷7-3-1
電話:03-3815-5411(代表) FAX:03-5800-9760(医局代表)
Eメールでのお問い合わせ:jinnai.research.assist@gmail.com
URL:https://www.todai-jinnai.com/
医療機関名 東京大学医学部附属病院
診療科名 腎臓・内分泌内科研究責任者/連絡担当者:菅原 有佳(すがわら ゆうか)