糖尿病性腎症

糖尿病性腎症

日本において「糖尿病が強く疑われる人」の数は900万人に迫り、生活習慣病の中でも特に重要な問題となっています。糖尿病性腎症は、網膜症、神経症と並んで糖尿病の3大合併症の一つです。糖尿病に罹患後、発症までには長時間を要すると言われますが、蛋白尿が認められるようになると進行が速く、次第に腎機能が低下していきます。現在、透析導入患者の38.1%は糖尿病性腎症による末期腎不全であり、腎臓内科で診療する頻度が最も多い疾患でもあります。
腎症の診断や進行程度の評価には血液検査・尿検査が重要です。糖尿病発症後、一般的には5 – 15年で微量アルブミン(タンパクの一種)尿を呈するようになり(早期腎症期)、更に5 – 10年の経過で顕性蛋白尿を発症しますが、血糖や血圧のコントロールの程度により発症までの時間には個人差があります。顕性蛋白尿期以降は浮腫(むくみ)や高血圧を伴うことが多いのも特徴です。この病期以降の腎機能低下速度も個人差が大きいのですが、典型的な経過としては、ネフローゼと呼ばれる大量の蛋白尿を伴う病態を呈しながら、腎機能が低下していきます。
治療は、血糖や血圧を適切にコントロールし、腎症の進展速度を最大限抑制することが非常に重要です。血圧が高ければ、腎保護作用があるとされるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を中心とした降圧薬(レニン・アンジオテンシン系阻害薬と総称されます)を使用します。日本腎臓学会・エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン(2013年)では、早期腎症における目標血糖コントロール値をHbA1c (NGSP) < 7.0%に、また目標血圧値を<130/80 mmHgとしています。  
 

 
 

糖尿病性腎症の病期分類

病期 尿アルブミン値 (mg/g・Cr) あるいは
尿蛋白値 (g/g・Cr)[1日あたりの尿中アルブミン排泄量]
GFR (eGFR)
(mL/分/1.73m2)[残腎機能]
第1期
(腎症前期)
正常アルブミン尿(30未満) 30以上
第2期
(早期腎症期)
微量アルブミン尿(30〜299) 30以上
第3期
(顕性腎症期)
顕性アルブミン尿(300以上)あるいは持続性タンパク尿(0.5以上) 30以上
第4期
(腎不全期)
問わない 30未満
第5期
(透析療法期)
透析療法中  

(2013年12月:日本糖尿病学会・日本腎臓学会合同委員会発表)

  

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