ネフローゼ症候群患者血清・尿における新規バイオマーカー測定に関する研究 (多施設共同横断研究)

ネフローゼ症候群患者血清・尿における新規バイオマーカー測定に関する研究(多施設共同横断研究)

1. 目的

ネフローゼ症候群の原因となる腎臓病には様々なものがありますが、血液・尿検査では診断を確定できないことが多く、また、確定診断のための腎生検の結果が得られても診断の精度を上げるために、疾患それぞれに対応する血液マーカーの開発が望まれています。この中で、最近「可溶型ウロキナーゼ受容体」という物質が巣状分節性糸球体硬化症の患者さんの血液中で増加していることがアメリカの研究グループから発表されました。また、別のグループより尿中でこの物質が増加している患者さんでは移植後の再発が多かったという報告もあります。しかし、日本の患者さんで同様の傾向があるかどうかは確認されていません。そこでこの研究では、日本のネフローゼ症候群、特に巣状分節性糸球体硬化症の患者さんの血液・尿中で可溶性ウロキナーゼ受容体が増加しているかどうかを調べ、この物質が診断や治療の対象となり得るかどうかを検討することを目的とします。また、同様の研究を行っている海外の研究者と共同で、国際的により規模の大きな解析を行う予定です。さらに、採取させて頂いた検体を将来的には原因疾患の特定できない膜性腎症のマーカーとして期待されている「ホスホリパーゼA2受容体抗体」などの新規マーカーの研究にも使用させて頂きたいと考えています。

2. 対象

対象となるのは、当院腎臓・内分泌内科に入院または通院中のネフローゼ症候群の患者さんで、腎生検による診断がなされた16才以上80才未満の方です。

3. 方法・研究が行われる機関・実施場所

通常の血液検査の採血と同時に本研究用に10 mL程度余分に血液を頂きます。頂いた血液は血球成分を除いた血清の状態にして腎臓内分泌内科第111研究室で可溶性ウロキナーゼ受容体の濃度を測定します。また、一部は名古屋大学へ送付してホスホリパーゼA2受容体抗体の測定に用いる予定です。また、尿検査の採尿時に中間尿を10 mL程度頂き、これを用いて同様に可溶性ウロキナーゼ受容体の濃度を測定します。これらのデータと、病気を診断したときの腎生検のデータや血液・尿所見などの関係を検討します。カルテ・診療情報・検査結果を閲覧しながら、個人情報を除いた診療内容を調査票に記入します。この時点で患者様の匿名化は完了し、患者識別情報が含まれないデータのみが用いられます。研究者は、東京大学医学部附属病院内においてデータの集計・統計解析を実施します。
また、得られた可溶性ウロキナーゼ受容体濃度に関するデータと血液・尿所見・腎生検データは個人が特定できない方法でオランダへ送付し、5ヶ国による国際的な解析にも参加する予定です。

4. 研究協力の任意性と撤回の自由

この研究にご協力いただくかどうかは、あなたの自由意思に委ねられています。もし同意を撤回される場合は、同意撤回書に署名し、担当医にご提出ください。なお、研究にご協力いただけない場合にも、皆様の不利益につながることはありません。研究期間中にご本人の申し出があれば、いつでも採取した資料(試料)等及び調べた結果を廃棄します。

5. 個人情報の保護

この研究に関わる成果は、他の関係する方々に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。あなたの血液試料や情報・データは、分析する前に氏名・住所・生年月日などの個人情報を削り、代わりに新しく符号をつけ、どなたのものか分からないようにした上で、当研究室において厳重に保管します。ただし、必要な場合には、当研究室においてこの符号を元の氏名などに戻す操作を行い、結果をあなたにお知らせすることもできます。

6. 研究結果の公表

研究の成果は、あなたの氏名など個人情報が明らかにならないようにした上で、学会発表や学術雑誌及びデータベース上等で公表します。結果については、個人的なお問い合わせがあった場合、個人的な結果 又は 全体の結果(もしくは両方)についてお伝え致します。

7. 研究参加者にもたらされる利益及び不利益

この研究が、あなたに直ちに有益な情報をもたらす可能性は高いとはいえません。しかし、この研究の成果は、今後のネフローゼ症候群の研究の発展に寄与することが期待されます。したがって、将来、あなたに診断・治療の面で利益をもたらす可能性があると考えられます。
一方で、今回の研究に関しては、診療上の血液検査と同時に10 mL程度追加して採血をお願い致します。万一有害事象が発生した際には保険診療で早急に対応いたします。個人情報漏洩の危険性につきましては、上記の通り、厳重に個人を特定できないような方法で保管することで防止致します。

8. 研究終了後の資料(試料)等の取扱方針

あなたからいただいた資料(試料)等は、この研究のためにのみ使用します。
しかし、もしあなたが同意してくだされば、将来のネフローゼ症候群に関する研究のための貴重な資源として、研究終了後も引き続き保管します。符号により誰の資料(試料)等かが分からないようにした上で、使い切られるまで保管します。なお、将来、当該資料(試料)等を新たな研究に用いる場合は、改めて東京大学倫理委員会の承認を受けた上で用います。

9. あなたの費用負担

今回の研究に必要な費用について、あなたに負担を求めることはありませんが、通常の外来診療における自己負担分はご負担いただきます。なお、あなたへの謝金はありません。

10. その他

この研究は、東京大学倫理委員会の承認を受けて実施するものです。なお、この研究に関する費用は、厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「進行性腎障害に関する調査研究」から支出されています。ご意見、ご質問などがございましたら、お気軽に下記までお寄せください。                 

連絡先:
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科 川上 貴久
Fax 03-5800-9826